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 ●「IDEC NOW No.33(2007年1月発行)」特集より

「商品開発」のあらゆる段階で市場の声に耳を傾ける 「販路開拓」の要点は売れる「商品」開発
特定非営利活動法人経営支援NPOクラブ会員・公社登録ビジネスエキスパート
渡邉 憲一 氏
●モノが売れない

 最近は「販路開拓」あるいは「販路拡大」の支援の相談が私達のNPO法人経営支援NPOクラブにたくさん寄せられています。戦後60余年日本経済は敗戦直後の飢餓状態から復興し、成長し、成熟して、今までのやり方では売れなくなったことを意味しています。

 モノやサービスが不足していた時代には、そこそこのモノやサービスを提供さえすれば、お客様は喜んで買っていかれました。モノやサービスが満ちあふれた今は、お客様の好みや生活様式が極めて多様化して、量産したものを大量に売りつけることのできる時代は終わりました。個々のお客様の細かい好みの差に配慮し、こだわりや「私好みの生活様式に合っている」とお客様がお考えの商品はよく売れています。

●1:10:100の法則

 モノ作りに苦労を重ねていらっしゃる方々はご不満かも知れませんが、新商品を開発してそれを製造して販売に至る過程においては、「試作品」を完成するまでの努力、資金、時間の総合力を1とすると、研究室規模の「試作品」を生産工程に乗せて「製品」にするのに10倍の労力が必要です。

 さらにこの「製品」を、市場調査などでお客様の潜在需要をつかみ、ふさわしい販売経路に乗せ、宣伝資料・販促材料を用意し、必要ならば宣伝媒体を使って売り出して初めて「商品」となります。「製品」と「商品」の間には格段の違いがあります。「製品」を「商品」に育てるには100倍の労力が必要です。

●現場に出ましょう

 製品(サービスも含む)を作って、量産化し「さあ売ってやろう」では商品開発の順序が正反対です。

 明確な問題意識と多面的な生活や多彩な教養に、養われた感性とを持って、街に飛び込んで市場の雰囲気やお客様の購買行動を観察されることをお勧めします。お客様がお買い上げになっている現場(お店)をまわり、並んでいる商品に触り、試し、実際にご自分でお金を払って買い使ってみて下さい。高価な商品の場合は販売員の説明に耳を傾けましょう。お客様の好みの変化を競争相手より鼻一つだけ先んじてつかみ、それらの情報に素早く対応して商品開発をしましょう。

 食品やファッション関連(消費者関連の商品は全てファッション性が本来の機能より一層大切になりました)には、街に出てお店やショッピングモールを探訪して五感を100%働かせて情報を集める「街角での定点観測(タウンウオッチング)」を勧めています。

 ご多忙な方々には大きな本屋さん、私の専門の食品関連の方々には、サラリーマンが昼食を召し上がるお店、夕方仕事帰りに立寄って飲食を楽しんでいるお店の探索をお勧めしています。そこはお客様の動きに関する新鮮な生きた情報が渦巻いている場所だからです。

●市場の変化を商品開発に活かしましょう

 モノ作りの方々の単なるヒラメキや思い込みで創りあげた「製品」が、お客様の潜在需要とうまく合致してよく売れる確率は限りなくゼロに近いのです。

 サッカーのワールドカップの試合前には、多くのマスメディアは根拠のない楽観論に基づいて日本チームの実力を過大評価し宣伝しました。結果はご存じの通りです。ご自分のヒラメキや思い込みのみに基づいて開発された「試作品」を「根拠のないご自分の願望」に基づいて市場・お客様に押し付ける姿勢では絶対にお客様に買っていただけません。

 お客様の購買動向、お客様からのクレームやアンケート調査などで得られるご要望、競合商品の売れ行きなどを地道に調査し、得られた情報やご自分の会社の現状を冷静かつ謙虚に分析を行い、商品開発に活かされることをお勧めします。

●アウトソーシング(外注)の勧め

 外部のヒト、モノ、カネ、情報、ネットワーク、時間を活用するアウトソーシング(外注)をお勧めします。多面的に複雑に発達した現代は、ご自分の会社の能力だけではとても対応しきれません。

 わかりやすい「経営理念」を持ち、それを社員、お取引先などの関係先に周知徹底します。会社の経営の核をしっかり固めたら可能な限り外注しましょう。外注を束ねる役割を担う部署には、社外に豊富な人脈を持ち、内外の情報を集める力のある、肩書きではなく人柄で人を動かせる人材を配するのが理想です。

 また、信頼できる仲間を見つけて異業種交流会を結成するのもよいでしょう。ご自分とは違う業種、分野、経歴の仲間から新しい情報や発想を得たり、お互いの足りない点を補ったりすることができます。

 この異業種交流会では「自分だけよし」という態度は取らず、相手の立場に立って考える。ご自分の考え方への賛否で、敵味方を分けない。ご自分の思い込みにとらわれず相手の言い分に耳を傾け、賛成ではなくても相手の言い分を理解するよう努めることが肝要です。

 お互いに気心が知れ、機が熟したら異業種交流会は協同組合にまで発展させることも可能になります。

「販路開拓」の要点
  1. 「モノを作ってからさあ売ろう」ではなく、まだ表に現れないお客様のご要望に応えられる「商品」を開発する。
  2. 「試作品」、「製品」、「商品」開発の各段階で経営力があり信頼できる外部の組織の力を巧みに活用する。
  3. 「製品」と「商品」とは同じモノではなく、「製品」を売れる「商品」にするには、「試作品」開発の100倍もの力を必要とすることを良く理解し信頼できる仲間と「販路開拓」に取りかかる。
●「販路開拓」を成功させる要点

 モノを作り上げてから「売り先を見つけてくれ」はやめましょう。

図:「販路開拓」を成功させる要点

 これらの手順を踏んで、第4段階に到達してから「販路開拓」支援を求めますと、成功の確率は大幅に向上します。

 ご自分の会社の経営資源を無駄に消耗しないためにも第一段階から外部の「目利き力」を利用することをお勧めします。ここで申し上げましたそれぞれの段階が「販路開拓」の土台であり、それぞれの段階で「目利き力」「広くて深い知見と経験」「幅広い人脈」のある信頼できる外部の組織の力をうまく活用することが「販路開拓」の要点です。

 「始めにモノありき」ではなく「まだ表に現れていないお客様の潜在需要を人に先んじて適確につかむ」が「販路開拓」の成功の鍵であります。


■掲載内容に関するお問い合せ
経営支援担当 TEL. 045-225-3711

■販路開拓支援に関するお問い合せ
特定非営利活動法人 経営支援NPOクラブ TEL. 03-5294-0088


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