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「今までのイメージを一新する」車いすのメルセデスを作りたかった!
 ●「IDEC NOW No.2(2004年8月発行)」クローズアップより
有限会社ムーヴ 代表 廣川 弘道 氏

廣川氏は、住宅・照明・陶製品・医療機器など、幅広く手がけるインダストリアルデザイナーとして活躍していたが、1999年にその活動を一時休止。新しい機能や新しい構造をもつ車いすの事業化に着手するとともに事業拠点を横浜市中区に移転し、2001年に有限会社ムーヴを設立した。
2003年の「国際福祉機器展」に出品した<アクセル>は、主催者はもちろん、大手福祉機器メーカーまでをもうならせ、「本物がやってきた!」と業界の注目を一気に集めた。
フリーデザイナーから事業家へ。福祉業界に関わりのなかった廣川氏が、なぜ車いす開発を手がけようと考えたのか?また、なぜ事業のステージに「横浜」を選んだのだろう?
手動車いす<アクセル>
手動車いす<アクセル>

私をこの事業へと導いたもの…
それは障害者からの相談と学生時代の「心残り」

バリアフリー住宅や、ユニバーサルデザイン家具ではなく、なぜ「車いす」なのですか?
たいていの方に、そう聞かれます(笑)。私はこれまで福祉の業界とは、まったく関わりがなかったのですから。そもそものきっかけは、「車いすを作りたい」という障害者の方の相談を受けたことでした。それと、学生時代の心残りもありましたね。修士課程のテーマが「シティ・ヴィークル」で、修了制作が「車いす」でしたが自分としては納得の行くできではなかったんです。そのことが、相談を受けたことで思い出されて……。

開発なさった<アクセル>は、かなりスポーティなデザインですね。
かっこいいでしょ(笑)?今後の機能の展開を考えたときに、丸パイプでなく「ツインチューブ」の断面形状の方が構造的に軽く剛性が高く、独自なフレームデザインができると考え、金属メーカーとのやりとりを経て生まれたのがこの「超硬アルミパイプ」です。このフレームと、前輪はウレタンブッシュ、後輪はウレタンリングでの四輪独立懸架のサスペンションで乗り心地を最優先させ、車いすのメルセデスを目指しました。
また、シートの材質にもとことんこだわりました。アメリカのオフィスチェアーに使われている素材で、通気性のよいメッシュ構造でありながら圧力のかかった箇所だけが沈み込むため、どんな体型にもフィットし姿勢を保つことができる。床ずれになりにくい。どうしてもこれを使いたかったので探していたのですが、国内の大手織物メーカーがよりすぐれたファブリックを新開発してまして、シートフレームにして組込めるよう共同開発しました。
高齢者や障害者の方々により積極的な「社会参加」を促すための「機能」=「快適なモビリティ」、誰もが快適に移動できるツールや機能の開発と製品化を目指しています。

デザイナーから事業家へ。「補助金コンペ」に明け暮れた2年間

デザイナー時代に、事業計画を立てたりプロジェクトマネージメントをしたことは?
それが仕事ですから(笑)。クライアントが考えた事業にあわせ、デザインを考えていくのがインダストリアルデザイナーです。メーカーにアイデアとして売り込むことも考えましたが、企業に頼ると、どうしても企業の事情が優先されてしまいますから、自分のコンセプトを通すことが難しくなってきます。ごく自然に「これは自身で事業化しよう」と考えました。そこで資金を得るにはと市や県の起業化支援の皆さんのアドバイスで計画的に「補助金コンペ」をしました。行政機関の皆さんには、本当に感謝しています。

ただ自分で事業を起こすことは、かなり大きな「リスク」なのではありませんか?
確かにそうですが、年齢的にみても「自分のオリジナル製品を出す最後のチャンス」という考えの方が大きく、また「チャンスをものにするにはどうするか?」という点で様々なアドバイスを受けることができたので、事業化に踏み切りました。なにせ開発段階ですから、売上げも実績もない。金融機関へいっても融資を受けられず、試作を作る目処がたたない。そんな状態が2年ほどつづきました。

2002年に「創造法」の認定を受けていらっしゃいますが、それでも難しかったのですか?
ええ。「創造法」は「認定のみ」で助成金の交付を受けることができなかったので、その時点での試作品製作はできませんでした。2003年2月に、中小企業総合事業団(現中小企業基盤整備機構)の「新事業開拓助成金(※)」の交付を受けることができたので、やっと試作に着手できたんです。その試作品を2003年10月に行われた「国際福祉機器展」で発表したところ、生産受託、バッテリーの販売提携、シート開発などについて、企業からの申し入れがあり、また、16社の車いす販売会社からは、購入の申入れがありました。このビジネス・マッチングのおかげで、現在はそのうちの数社と、資材部材の売買契約や開発・販売提携をしています。また、電動車いす<アクセルドライブ>で横浜市の「中小企業研究開発助成金」の交付を受けることができました。
※平成16年度より「新事業開拓助成金」は新しく「事業化助成金」に変わりました。

住み慣れた東京を離れ、事業ステージを横浜に…
不思議と相手に好感を与える「横浜」という言葉の響き

なぜ、事業拠点を横浜にしようとお考えになったのですか?
まず、横浜市は起業・創業支援に積極的な自治体であるということですね。特に、私の事務所のある中区には、行政機関が集中していますから、街をぐるっと一回りするだけで、様々な手続きやサポートを受けることができるという「利便性」に富んでいます。都内ではここまでスムーズに進めることができなかったと思います。
あとなんといっても「横浜」という言葉の響きですね。東京からみても「横浜=おしゃれな街」というイメージがありますので、交渉相手にも不思議と良い印象を与えてくれますし、私の事業環境がどういうところにあるのか容易にイメージできる。こんなことも拠点選びの決め手になりました。いろんな意味で「横浜に来てよかった!」と感じています。

ワンポイント

今回の廣川氏の「計画的なコンペ賞金獲得」のように助成金を獲得できたのは新事業に対する熱意からで、まれなことかもしれません。綿密な事業計画や資金の蓄えはもちろん、信頼のおける人材や提携業者、仕入・販売経路の確保など見込み違いとならないように十分な調査を行いましょう。
試作品などの費用捻出のためには国や自治体の補助金を活用する方法があります。ただし、申込期間が決まっていますので、あらかじめ情報を集めておきましょう。

横浜市中小企業研究開発等助成
 * 詳細はこちらをご覧ください。
  お問い合せ先:横浜市工業技術支援センター TEL.045-788-9000
  申込期間:平成16年7月15日〜9月3日

事業化助成金
 * 次回の募集は、11月中旬ごろを予定。
  お問い合せ先:中小企業基盤整備機構 TEL.03-5470-1608
  詳細はURLhttp://www.smrj.go.jp/をご覧ください
電動車いす<アクセル・ドライブ>
電動車いす
<アクセル・ドライブ>



有限会社 ムーヴ 有限会社 ムーヴ
〒231-0801
横浜市中区新山下3-15-2 ベイシティ208
TEL.045-625-3621 FAX.045-625-3622
URL: http://www.move-inc.jp
E-mail :info@move-inc.jp

○資本金 300万円 

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