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お届けするのは大いなる満足 世界にたった1台、あなただけのMTB(マウンテンバイク)作りを応援します!
 ●2006年3月 特別インタビュー
横浜オレンジロード(Yokohama Orange Road) 杉浦 靖 氏  

「インターネットで注文したのはいいが、間違って買ってしまった!」「思ったものとは違っていた!」、ネット通販が当たり前となってきた今、こんな経験をお持ちの方も多いはず。ネットならではの利便性がある反面、実際に商品を手にとって確かめることができないだけに、納得のいく買い物が難しいのも事実。横浜の金沢区福浦に店舗を構える「横浜オレンジロード」でも、インターネットは重要な営業ツールである。「楽しいMTBライフを送ってもらいたい」、そのためにお客様が本当に納得いただけるまで、店長の杉浦さん自らがメールや接客を通じて、段階を踏んだサポートを実施している。そんな杉浦さんが目指すのは「お客様の自転車の主治医であること」。
今回は、そんな確固たる信念をもって起業した杉浦 靖さんを特別取材した。
MTBライフの夢が広がる店構え
MTBライフの夢が広がる店構え
MTBライフの夢が広がる店構え
杉浦 靖さんプロフィール
横浜生まれの横浜育ち(生粋のハマっ子!)。音響機器メーカーに入社の後、1994年、MTBメーカーに転職し商品企画&ライダーを担当する。この頃からお店の独立開業を志す。商品企画を通じた専門性に加え、レースライダーとしてユーザ側の視点も併せ持つその経験を買われ、1996年、自転車及び部品の問屋に転職し、新規事業である小売部門の責任者を任される。アンテナショップである「横浜オレンジロード」の店長を9年間務めた2005年、会社の経営戦略上の都合から撤退を図った「横浜オレンジロード」の営業権を譲り受けて独立した。
独立から10ヶ月ほどがたった現在、高校生の息子さんの協力も得ながら、忙しい毎日に嬉しい悲鳴をあげている(!?)。

倉庫の中にお店がある!その理由とは?

こちらのお店は倉庫の中に立地しているんですね。
ええ、金沢区福浦にある工場倉庫の一区画で営業しています。倉庫の中にあるので、立地そのものでお客様を惹きつけるということはあまりありませんし、周辺は工場や会社に囲まれているので、普通の小売店が出店するのは躊躇する場所かもしれないですね。ただ、当店はよくある街の自転車屋さんとは異なるお客様をターゲットにしていますし、取り扱う商品やサービスも違いますから、路面店にこだわらなくとも良いのです。
倉庫内にあるログハウス調の店舗
倉庫内にあるログハウス調の店舗

どのあたりにお住いの方がいらっしゃるんですか?
お客様の半分ほどは神奈川県内にお住いの方ですね。当店は神奈川・東京・千葉・埼玉などの関東甲信越地方を商圏と考えています。横浜横須賀道路の並木出口に近く、駐車スペースにも困りませんのでお車で来店しやすい立地になっています。この前は名古屋にお住いの方が、わざわざ来店して下さったんですよ。そもそも、MTBというのは実はクロスカントリー・ダウンヒル・ストリートなど幅広いジャンルがあるため、専門店とはいっても全てに対応するのは容易ではないんです。ですから、MTBに関心やこだわりを持つ人は、例え近くに専門店があったとしても、自分の趣向にあったお店をネットなどで探してからお店を訪れる傾向があります。来店目的がはっきりしているので、「人通りが多くて目につく場所に」、などとこだわらなくても良く、商圏範囲を広く考えられるのです。

実店舗でもインターネットでも変わらないこだわり

お店をPRするうえでホームページは欠かせないようですね。
お客様にまずインターネットで当店を知ってもらい、ホームページやメールを通じてリクエストなどに応じ、お店でお客様にあわせてカスタマイズしたMTBに“ご対面!”、という流れとなっています。そのため、まずはホームページを見てもらうことが必要ですので、「Yahoo!」などの検索エンジンにヒットするように様々な取り組み(SEO対策)を行っています。また、お客様に知ってほしい情報を「店長日記」を通じて日々、発信しています。中には店長のボヤキなども含まれていますが(笑)。でも、これが定期的にホームページを見てくれることにつながっていると思います。

お客様の満足のためにいろいろな仕組みがあるそうですが?
実は、当店のホームページには一般的な「買い物かご」の機能はありません。いきなり購入ではなく、お客様が納得したうえで購入してほしいのです。そこで、お客様とのやりとりを行うために考え出したのが「見積り依頼システム」です。これは、まずお客様にお好みのパーツを選んでもらい、「それが正しいものなのか?」「自分で取り付け可能なのか?」などを私がメールで直接アドバイスして、本当に適したものだけを納得してお買い上げいただくのです。もちろん、購入時に限らず質問はいつでも大歓迎です。時には思わず悩んでしまう質問もありますが、誠心誠意、対応しています。

メールの対応に追われてたいへんなのでは?
このシステムをはじめる時には、周りからはあまり賛成されませんでした。でも実際は、これが非常に効率的な方法なんです。一般に小売店の場合、平日の昼間は比較的余裕がある時間帯ですから、この時間を利用してメール対応しています。確かにたいへんではありますが、幾度のやりとりを経てお客様に信頼していただけるようになり、商談成功の確率が上がるとともに、そうした対応がお客様同士の口コミを通じてお店のPRにもつながっていきます。また、こうしたメールに書かれている内容はお客様の生の声ですから、うちの貴重な情報源でもありますしね。

お客様を育てていくことも私たちの仕事のひとつ

購入されるお客様はどんな方が多いですか?
うちがメインターゲットとしているのはMTBに関心を持っている初心者層です。女性やファミリー層なども意識していますね。ですから、専門店、プロショップなど初心者の方が敷居が高いと感じることのないような対応を心掛けていますよ。最近では、ウォーキングを趣味としていたけれど、もう少し行動範囲を広げたいとお考えの中高年層のご夫婦が利用してくれるようにもなりましたね。

レースで優勝した子供達、それ以上に盛り上がる大人達!?
レースで優勝した子供達、
それ以上に盛り上がる大人達!?
お客様とは長いお付き合いになることが多いようですね。
ええ、うちの売りのひとつに「売って終わりにはしない」ということがあります。購入後の点検調整は生涯無料(!)です。また、気軽にみんなが参加できる「TEAM Y.O.R」を結成してツーリングやライディングスクールなども開催しています。購入していただいたからには、安全に楽しく乗ってもらいたいですしね。このチームではレースにも参加しているのですが、この時には当店の名称が入ったユニフォームを着てくれるので、実はこれが結構いい宣伝になるので助かっています(笑)。

さまざまなノウハウを凝縮した経営スタイル

起業にあたって、どんな点に苦労されましたか?
やはり一番は資金面です。何せ、急に営業権譲渡の話を持ちかけられたので、準備する余裕がなかったんですね。そこで横浜市の創業融資制度を利用したのですが、自分ではかなりスムーズに話が進んだと思っています。前の会社の小売部門としての実績や固定客があったので、それが金融機関の評価につながったのかもしれません。音響機器メーカー時代に事業計画書の作成経験があり、決算書類の見方なども理解していましたので、そのような経験を総動員しての起業でしたね。

現在、ご苦労されていることは何ですか?
なかなか休みがとれないことですね。うちは水曜定休なのですが、お客様の中には平日休みの方もいますから、そういう方にも対応してあげたくて。休みがあっても、お客様と一緒にツーリングに行ってしまったりもしますが(笑)。あとは資金繰りですね。自転車業界では、ニューモデルが出るシーズンに契約のためにまとまったお金が必要になるんです。でも、お客様の声を着実に経営に反映させてきた結果、独立開業後の売上は順調に推移していますから、何とか乗り切っていきますよ。

経営上で気をつけていることがありますか?
順調な時ほど、自分の考えが正しいと思ってしまいがちになります。そのため、周りの人の意見に耳を傾けるように心掛けています。「暴走しないように、ちゃんと止めてよねって」頼んだりしていますね(笑)。

将来の夢を教えてください。
熱血接客の杉浦店長 メカニックのプロ香取さん
熱血接客の杉浦店長(左)とメカニックのプロ香取さん(右)、
抜群のコンビネーションです
多店舗化を目指していきたいですが、単にお店の数を増やすだけでは自店同士の市場の奪い合いになってしまいます。私が考えているのは、MTBでもダウンヒルやクロスカントリー、また、ロードレースなどのテーマ別、カテゴリー別のお店を増やしていきたいです。そうすることでお客様のより深いニーズにも対応できますし、テーマ間での相乗効果も期待できますからね。

起業家へのメッセージ

最後に、起業家へのメッセージをお願いします。
自分のことを理解してくれるパートナーを見つけるといいと思いますよ。それは家族であったり友人であったりいろいろですが、私の場合は、「横浜オレンジロード」が前の会社の一部門であった時からの従業員である香取さんです。独立のときも一番に相談しましたね。うちが順調に行っている理由のひとつに、役割分担をしっかりしていることがあると思います。私がお客様対応を、香取さんがメカニックを担当していますので、効率的なんですね。パートナーもそうですが、どの商売でも人脈・ネットワークは大事ですからね、そのつながりを活かしてがんばってください。

ここがダンゼン!横浜起業家サポートデスクの目

ビジネスを行う上で事業コンセプトの確立は欠かすことはできない。「横浜オレンジロード」の事業展開を見ていると改めてそう認識させられる。「顧客満足度の向上」をうたう企業は多いが、アフターサービスの充実やMTBチームによる顧客同士のコミュニティ形成(顧客の組織化)など、ここまで明確なメニューを打ち出しているお店はそう多くはないだろう。その結果、お客様からの信頼を得た長いお付き合いが可能となるわけだが、ひたすらな市場シェアの拡大が困難な現在、1人の顧客との継続的な関係を築く、いわゆる顧客内シェア拡大を志向する手法は経営戦略上でも注目されている。
また、「横浜オレンジロード」のネットの有効活用にも目を見張るものがある。売るための仕組み作り、マーケティングにはPrice(価格)、Product(商品)、Place(立地・流通)、 Promotion(販売促進)の4Pの活用が必要となるが、必ずしも各々が最良でなければいけないわけではない。当社の場合、一般の小売店向けではない立地でも、ネットによるプロモーションがそれを補ってあまりある効果を発揮している。要は4Pの組み合わせによる全体最適にこそ求めるべき点があるという良いお手本である。
そうは言っても、杉浦さんが経営戦略の概念先行でさまざまな取り組みを行ってきたかというとそうではない。顧客の視点に立って「こんな仕組みがあればいいのに」を徹底して実践してきた結果、後からついてきたものだろう。 今日も世界に1台のMTB作りに向け、ネットで、お店で、杉浦店長とお客様との会話が行われていることだろう。
取材:星野倫隆(経営支援部)




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